レベル☆プロ「ホイール組立・調整のお話し その1(編集しました)」

2022-09-21

 

 

かなりかなりお待たせしていた、お客様ご注文のロードバイクが入ってきて、ホイール調整に取り掛かっております。

中島です、毎度お世話になります。

まだまだ作業場がピシャっと片付いてないけど、オーダー分の作業を優先して進めています。

 

こちらのバイクのオーナー様、ご注文から6カ月もお待たせしているのですね。誠に申し訳ございませんでした。

 

さて、作業台にホイールがセットされたところで、振れ取り作業などの説明をさせてください。

 

 

 

参考ホイールはG社のロードバイク完成車のフロントホイールです。完成車のホイールチェックは、中島の組立作業に於いては必須としております。

 

完成車価格60万円クラスに装着のカーボンクリンチャーDISCホイールですが、やや気になる「振れ」がありました。通常走行にはただちに問題になるレベルの振れではありませんが、⬜️誤差0.5mm以下内程度にまで調整しおさめました。センターは出てました。

 

⬜️DISCローターロックナットの締め付けを確認、規定トルク値でしっかり締まってました。

 

 

※ ホイールの振れ幅って、どれぐらいが目安?

(新車時の工業規格のお話)

 

スポーツ車というより一般のカゴ付き自転車のデータですが、JIS(日本工業規格)の基準値を調べると、過去はリム制動のものは縦フレ横フレともに1.5mm、それ以外(バンド・ローラーブレーキなど)は同じく縦・横3mm内となってました。

2019年2月20日付けでJISの改正・追加があり、現在ではリム制動ホイールは縦・横とも1mm、リムブレーキ以外は同じく2mmが振れ幅の許容値になってるようです。

そして同改正で、レーシングバイク(ロードバイクなど)のホイール精度について、リムブレーキ・DISCブレーキにかかわらす、縦フレ横フレが0.7mm以下である事との規定が加わっております。

(MTBは一般車と同じで、Vタイプブレーキは1mm、DISCブレーキは2mmが振れの許容値)

 

 

 

 

 

⬜️振れ取り台の上で、ついでにDISCローター表面の脱脂もしておきます。

 

 

 

 

 

 

振れ取り作業用のニップル回し工具各種です。こちらは良く使うサイズをマグネットのプレートにくっ付け収納してあります。

 

 

 

 

ホイール用のスペシャルツールはとても多いです。専用ツール無しには、そのホイールの調整はできません。

 

 

 

 

 

 

こんな専用工具もあります。カンパニョーロホイール系のスポークを回らないように固定する工具。独特のサイズのスリットが切ってあって、スポークを回らないよう固定します。

 

 

 

 

 

 

画像では分かりにくいですが、ちょうど中指の辺り、ニップルのすぐ下の部分、スポークに二面の平らな部分が設けてあって、挟めるようになっております。

 

 

 

 

専用工具でスポークを挟んで固定しいる様子

このG社オリジナルホイール(スポークはDT系のものと思われますが)は、カンパの工具が適合しましたので、助かります。

 

 

 

 

 

 

スポークを回らないように固定した上で(黒い工具)、その下のニップルをまた別な専用工具(シルバーの工具ADEPT3.2mmスパナ)で回します。

普通の丸スポークの場合、ニップルを締めるとある程度共回りしてしまう(スポークがネジれる)ものなのですが、回り止め固定が出来るスポークだと(エアロスポークなども含む)、スポークを固定した上での微細なネジ締めが可能です。

8分の1回転だけの締め上げとか、4分の1回転だけとか。その分ホイールの精度出しも微調整が効くという事になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、、、

 

 

こちらはDT社の純正ニップル回しです。

ニップルを3面で挟む構造になってて、かなり強力に締めあげ出来ます。

ただし今回は、スポーク固定工具と一緒に使う事は出来ないので(ニップルから上も広く覆ってしまうので)、出番無しでした。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは振れ取り台「TS-2」とスルーアクスルホイールの取付部です。スルーアクスル用のオプションパーツで固定します。

 

 

 

 

 

リムセンターゲージでホイールセンターを見ているところ。タイヤを装着したまま使用できます。

 

 

 

中島手持ちの工具は、通常のクイックシャフトでも使いやすいように、元々は穴のないところに穴空け加工を施してあります。

 

 

 

 

 

こちらのパークツール製 振れ取り台、一つ前の世代の製品で、下の段では142mmのスルーアクスルがギリギリ使用できます。パークツールの最新型振れ取り台は、ブースト規格の148mmにも対応している様子。

ただ、この振れ取り台でも、アクスル用のアダプターを使って上の段にかければ、ブースト規格のホイールも装着できます。

 

 

 

 

リヤホイールも調整が終了しました。リヤは目立った振れは無く、センターも出ていました。ローターのロックリング、カセットスプロケットのロックリングとも規定トルクで締まってました。DISCローターの脱脂も完了。

どこのメーカーとは限りませんが、DISC側はしっかり絞めてあるのに、カセットスプロケット側のロックリング締め付けが緩いケースが散見されてましたが、最近はそういった締め付け不足が減ってる印象で、良い傾向に思います。

中島の組み立て整備作業のほんの一端をご紹介しました。しっかりと調整されたホイールを装着し、全体整備もきっちりと終え、お客様が長らくお待ちになっていたロードバイクが完成いたしました。

 

 

 

以上、組み立て作業の現場からお送りしました。

本日もお疲れ様でした。

(≧∇≦)