レベル☆プロ「突然効かなくなる恐怖。DISCブレーキトラブル」
問題のパッドが下の写真。 異常摩耗してます。前後とも同じ状態でした。
いったい、何が起こったのか。。。?
「ブレーキの修理をしてほしい」という事で、御来店のお客様がありました。
ネット通販でご購入された電動アシスト自転車、前後ワイヤー式のDISCブレーキです。
ブレーキレバーを握ってみると、握り応えはあって、ワイヤー切れやパッドが無くなってるとかではなさそう。
しかし左右のレバーをじっかり握ってもブレーキが全く効かない状態で、車体はスルスルと動いてしまって止まれない。もう、「乗ったらダメな状態」ですね。
ローターも油っぽかったので、パッド交換とローター清掃のつもりで分解したら、パッドが写真の状態だったわけです。
何かがおかしくて、パッドの一部が削れずに残ってしまい、両パッドの残った部分が当たった時点でローターを挟めなくなります。
パッド同士が当たってしまい、ブレーキが利かなくなる。
こうなってしまうと、さっきまで効いてたブレーキが、前触れもなく突然効かなくなります。
ワイヤーが千切れるほどレバーを握ろうが、全く効かないという、もしも下り坂の途中だったらなどと考えると、トンデモナク恐ろし事態の発生であります。
ディスクローターに対して、パッドの位置が悪くて異常摩耗になってるのです。
奥側が不良なパッド位置 今回のように一部削れてない異常摩耗になる
手前側がパッド全面が削れるマトモなパッド位置 (パッド下側がローターの摩擦面から外れてますが、アーム部で削られます)
取付されてたパッドはアメリカの「ヘイズ社」タイプのパッドと互換性がありそうで、在庫品があったので修理対応できました。
ただし、同じ状態が発生しないよう、ローターが届かないパッドの上側はあらかじめ削り落としてから装着しました。
DISCローターも清掃してブレーキが前後ともしっかり効くようになり、お客様にお渡しいたしました。
後から調べて新しい事が分かりました。
ブレーキキャリパーのメーカー名は修理時に分からなかったのですが、どうも「プロマックス」製か、それを真似て作った模造品だった可能性があります。
プロマックス社製、DSK-400他用として、パッド部がヘイズ社のものより4分の一ほど狭い専用タイプがパッドメーカーのラインナップで確認できました。
今回の修理でトラブルとなったパッドで削れ残ってる部分が最初から無いタイプですね。
この電動自転車メーカー?あるいはブレーキキャリパーメーカー?が、最初から適合パッドを装着していれば起こらなかったトラブルのようですね。(自転車はまだ新しくて、どこかでパッド交換した風でもなかったです)
ブレーキが前触れもなく突然効かなくなるというのは、まあ、製品としては、正直ダメな状態だと思います。
ところで、ヘイズ(HAYES)社というのは、早くから自転車用油圧ブレーキメーカーとして名を馳せたアメリカの一流ブランドで、モーターサイクル「ハーレー」社の純正ブレーキを作ったりもしてます。
これは中島の勝手な想像ですが、プロマックス社がヘイズのメカニカルDISCブレーキを参考に製品を作ったけど、まんま真似るとパテントの問題もあるし、あるいは自社製品(純正パッド)の抱き合わせ販売も目論んで、パッドのあたり面を、少し変えた製品にした、みたいな感じだったり、そうでなかったり、分かりません。
こちらは、ヘイズブレーキキャリパー用のパッド。(ヘイズ純正品ではなくて、ASHIMA社の適合パッドです)
ヘイズ社のこのタイプのパッドには、左右に広げるためのバネは付属しておらず、キャリパー奥に仕込まれた磁石にパッドがくっついてクリアランスをとる構造になっています。プロマックスも同じ構造です。
ヘイズタイプのパッドをプロマックスのキャリパーに装着することは出来ますが、今回の記事のようなトラブルになるので、(パッド面を加工しない限りは)互換性無しと考えましょう。
自転車用のDISCブレーキパッドって、世の中には数十種類以上あるのかな?できるだけ多めの種類を在庫するようにしてますが、全対応できるわけではありませんので、トラブルになる前に早めの交換をおすすめします。
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